「テクスチャー」と「シェーダー」

シェーダー

テクスチャー、ISF、pbr

先回の「ISFによるシェーダーの利用」を書いた後、ISFシェーダーを使って書いた絵を貼り付けたので、ISFはテクスチャーだろうと思った方もいらっしゃったたかもしれないと思いました。そこでテクスチャーとシェーダーの違いを述べようと思います。ISFで書いた絵自体は球体や平面に貼ることができます。ですのでISFを使って作製した映像はテクチャーとみなせます。ISFをシェーダーと呼んでいるのは、ISFの中身はピクセル毎の色を計算するコードです。見た目を計算して作っています。できたモノではなくて、作る手法をシェーダーと呼びます。
一般にテクスチャーは画像(動画である映像も含めて)です。これをオブジェクトに貼り付けます。シェーダーは、見た目を計算するプログラムのことで、monogokoroでよく挙げているpbr(Physically Based Rendering)はその代表です。blenderで言うならプリンシプルBSDFが代表的です。光の当たり方、反射、影、透明度などをリアルタイムで計算して、最終的な見た目を創り出します。例えば、光が当たった時の反射の仕方、透明なガラスの屈折。金属のキラッとした質感等です。これらをどう見せるかを調整できます。ISFも見た目を作るプログラムですからシェーダーです。しかしpbrと違って計算対象はピクセル単位の色・形です。ですので先回の例では、反射や影等を作っているわけではありません。ISFで作った映像をMapとしてpbrに使うと(これは映像をpbrのMapとして使うのと同じことです)、pbrの物性的な特徴を付けることができます。

テクスチャーを使ったシェーダー的効果

今回紹介する案件は、テクチャーなんだけとシェーダーのようにふるまう方法を紹介します。ちょっとした工夫にすぎませんが、見た目に劇的な変化を付けることができます。これはすでに知られていることだと思いますが、自分で見つけた方法です。転移現象のように急に変化させることができ興味深く思っています。それでは動画を見てください。

山間の雪深い里に太陽が昇って明るくなる場面をイメージして作製しました。日が射すと急に明るくなるところが工夫です。冬になってきたので、冬の動画を一つ作製しておこうと思ったのです。これは夏のイメージを描いた2025.08.02のblog「情景と認識論1」の対になるものです。
映像を見ていただくと、最初の暗い場面から、比較的急速に明るくなり、山や雪の質感が変わります。通常質感を変えるのはpbrのようなシェーダーです。実はpbrのシェーダーも利用していますが、大きな変化は画像によって作っています。その部分のプログラムを次に示します。

山と大地及び家のモデルはblenderで作製し、fbxファイルでTouchdesignerに持ってきています。environment lightを利用してボロノイの画像をテクスチャーとして、山及び大地に貼り付けています。画面が暗い時から明るい時にかけて、ボロノイ画像のサイズをtransform TOPを用いて小さい状況から元のサイズに可変しています。この画像をenvironment lightのEnvironment Mapに使いました。これがテクスチャーを使ったシェーダー的な効果を生みます。Environmet Mapは空間全体を包む光の背景として働きます。そこに貼られた画像が小さくなると、周囲に黒(光の無い領域)が広がるため、結果として環境光が弱まり、陰影が強調されます。つまりテクスチャーを加工したことで、空間のライティングが変化したことになります。光の当て方を計算するのは通常はpbrのようなシェーダーですが、今回はenvironment lightがその役割を果たしたことになります。この方法によって大きく画面の陰影が変わりました。この他にも全体を明るくするために、environment lightのDimerのパラメータを変化させています。明るくするに従って大きくしています。また、質感を変えるためにpbr MATのRoughnessパラメータも可変にしています。明るくなるにれて大きくしています(Roughnessが0だと、鏡みたいに全反射します、1に近付くにつれて光が拡散し、ぼんやりしたマットな質感になります。Roughnessはシェーダーの機能です)。
次に比較のため、transform TOPのスケールを1にしたままの場合を次に示します。

この場合も勿論変化はありますが、2つの動画を比較すると、transfrom TOPを可変にすると、陰影のつけ方が劇的に変化することが分かります。

雪景色ということで、一つ和歌を付けておきます。

白雪の
ふりてつもれる山里は
すむ人さへや
思ひきゆるらむ

古今和歌集 壬生中岑(みぶのだだみね)

訳:白雪が振って積もっている山里は、住む人でさえ思いが消えていくように寂しいのだろうか
降り積もる雪に思いが消えて寂しくなるのか、あるいは、思いが募って寂しくなるのか、どうなんでしょう。

コメント