はじめに
2025.09.01のblog「ポテンシャルフィールド 環境とのインターラクション」で、「最短経路の探索」という節があります。ここで、山あり谷ありの凸凹した地形に対して出発地と目的点を結ぶ、最短経路らしきルートを決める方法を紹介しました。spring SOPを使ったゴムを凸凹した地形に張ることで、ルートを見つける方法でした。この時使った映像を採録しておきます。
2026.01.10のblog「オブジェクトからの視線」で、移動軌跡の先頭の位置をターゲットにして、それを少し後ろから見るカメラワークを紹介しました。これらを合わせると、凸凹した地形のルートにそって移動するカメラワークを作ることができると思いました。ゲーム等ではよくあるシーンだと思います。そこで自分でも作製してみようと思いました。作製していると、上から俯瞰して見る映像と、地面に沿って動く映像とでは、視線位置意外にも違いがあることに気づきました。今回この気づいた点を紹介したいと思います。
走行映像の作製
最初に作製した映像を見ていただきましょう。
左がポテンシャルに対してゴムを張って決めた経路です。右側がその経路に沿って走行した映像です。視線は前方を向いています。経路はポイントの集まりで、一つ前のポイントが視線のターゲットになり、その直後のポイントからターゲットを見ています。白色の円が出発の場所で、赤色の円がゴールです。3回繰り返し表示しています。注意して見ていただくと、山を登り降りする時があります。この時視線も経路に沿って上に上がり、そして下がるようになっています。次に経路の違うパターンです。
このように、搭乗者の視点から走行映像を作製することができました。この映像自体はゲーム等でよく見る映像でしょう。個人的にはそうした映像を作製したことがなかったので、こういう感じで作っていたのだろうと、ちょっとした感激があります。今回のプログラムに意味があるとすると、最短経路を検出してそれに対して搭乗者の始点で走行映像を作製できることだと思います。
見せ方の工夫
今回の作製で以前から疑問に思っていたことがはっきりしました。前から上の映像の左側にあるような、ポテンシャルを真上から見る映像を描く際に疑問に思っていたのです。相当高いポテンシャルで描かないと、はっきりした山に見えないのです。そうすると山の近くを走行させる場合、ほんど直角に立ち上がりるようになってしまいます。イメージする山とは随分違います。これは現実にも感じておりました。俯瞰した地図をみると、山といってもそんなに凸凹に感じません。しかし実際クルマを運転して何とか山地や山脈に近付くと、随分とでかい山で、今から登って行くんだとか、トンネルで超えるのだろうか、等と思うわけです。AI Copilotとこの現象について話してみると、人はそういう性質を持っているそうです。実際も「山らしく」見せるには、垂直方向のスケールを変えて強調したり、影を付けて高さを分かるようにしているそうです。人は進化の過程で俯瞰して見るということは無かったわけで、真上から見た時に深さを認識する能力が必要とされてこなかったようです。そこで問題になるのが、走行映像を作るときの山の高さです。
真上から見た図には、大きなポテンシャルにして山が見やすいようにする必要がありますが、移動体の視線からは山はなだらかに見えるようにする必要があるのです。つまり2つに見え方が必要になります。次の図を見てください。移動経路を決めるline SOPの部分です

line SOPにも興味深い性質があります。z軸方向の値が始点と終点ともにゼロにしています。こうすることで、line SOPはポテンシャルの影響を受けてもx,y方向にしか動かなくなります。始点か終点のどちらかに、僅かにz方向を入れると、x,y,z全て動くようになります。これは始点・終点を共にz=0にすると、これを基準に動かすのですが、z軸方向が無いlineとして認識するようです。この性質を利用して、line SOPの設定をz=0にしてforce SOPを作用させ、これでx, y方向に動かします。続いてそれをmagent SOPに入れています。magnet SOPはmetaball SOPが作用しz方向に移動させます。これでx,y,zに値を持つルートが作れます。そして見かけ上のポテンシャルはray SOPによって作製します。上から見る場合はray SOPのScaleパラメータを1にして、高い表示をつくり、移動体からの視線の場合は、別ルートのray SOPのScaleパラメータを0.2にして低く設定しています。これによって山に移動経路がかかった場合でも、適当な高さの山を乗り越えるように見せることがでます。
視覚の考察
今回の映像を作製して、人は水平方向の奥行である、手前にあるとか後方にあるとかですが、これはよく見分けることができます。しかし真上から俯瞰して見る場合の深さ方向は鈍感なことがわかりました。そして調べてみても、実際のプログラムでも、それを補うよう、真上から俯瞰する場合は高さを強調することが必要になります。これによってイメージに合わせることができるようになります。つまり人は実際を見ているのではなく、意味付けを行った後のイメージを見ようとしているように思えます。これに似た現象は、音でも音楽でもあるように思います。次回これらについてまとめてみます。

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