ナラティブ・パッケージ

ナラティブ

先回「プロセス絵画2 動的抽象化」を記載しました。この中で複雑さパラメータの軌跡をAIに見せ、何に見えるかを尋ね描いてもらいました。アップしたのは一例です。この時、軌跡の加工の仕方や、言葉の選択を変えて、AIに異なる画像を描いてもらっています。もちろん加工の違いで異なるイメージを出力してくれます。私が興味を持ったのは次のことでした。長久手市街をクルマで走り、その複雑さパラメータの軌跡を加工して表示します。その加工の仕方で、描いた痕跡がAにもBにもCにも違ったイメージになります。そしてそれらを並べて見ると、そこで適当な話しが作れるのではないかと思ったのです。これは少し運転すると物語が作れるということです。クルマで走行する行為が、複雑さパラメータから作る軌跡となり、そして軌跡から作るキャラクターとなり、さらにそれらが登場する物語となります。これら全体が一つのナラティブになっています。つまりナラティブ・パッケージです。通勤等の日常が、一つの物語を作る行為となります。豊かさが増すのではないでしょうか。それでは例を見ていただきましょう。

まず、長久手の走行映像から、複雑さパラメータの軌跡を求めました。その画像が次です。

これをものとに、エフェクトを掛けたのが次です。

この絵をもとに、AIにどんな生物あるいは動物を想像しますか、と尋ねました。その解答が次です。

狐でした。次に複雑さパラメータの軌跡に別のエフェクトを掛けました。その結果が次の図です。

これをAIに見せ、想像した生物及び動物を描いてもらうと。

ができました。AIによると「ミドリヒレ・ムラサメウオ」という魚だそうです。架空の魚です。
エフェクトを掛けた同じ図に対して、私はこの絵が島に見えます。島の絵を描いてください、というと、次の絵を描いてくれました。

確かに島です、黄色い部分も島に反映してくれています。そして、更に先回使った等高線のエフェクトからカメレオンの絵が得られています。
そこで、次に、狐、ミドリヒレ・ムラサメウオ、島、カメレオン、の4つを登場させて、一つの物語を作るようお願いしました。そしてできた話が次です。

「長久手の空の下、遠く離れた海にぽつんと浮かぶ「カゲロウ島」がありました。そこは、昼と夜の境目にだけ現れる、不思議な島。島には一匹のキツネが住んでいて、名前はミカゲ。ミカゲは毎日、島の岸辺で魚釣りをしていました。
ある日、釣り糸にかかったのは、光るヒレを持つ「ミドリヒレ・ムラサメウオ」。あまりにも大きくて、ミカゲは「これは一人じゃ無理だ!」と叫びました。すると、島の森から仲間のキツネたちがぞろぞろと現れ、みんなで力を合わせて魚を持ち上げました。
その瞬間、ミカゲはふと気づきました。仲間のキツネたちが、じっと自分を見つめているのです。いや、見つめているのは…自分の姿?ミカゲは驚いて、自分の手を見ました。毛が、鱗に変わっている。尻尾が、くるりと巻いている。そう、ミカゲはカメレオンに戻ってしまったのです。
実はミカゲは、昔カメレオンだったのです。狐の姿を借りて島に住んでいたけれど、力を使いすぎると本来の姿に戻ってしまう。釣り竿にしていたのは、カメレオンの舌だったのです。
狐が化かすと思われていたけれど、ほんとうはカメレオンが狐を化かしていたのでした。
おしまい。」

最後に追加です。等高線表示を見ていると、これは立体にすると大地あるいは城の形状に見えるようになると思いました。前のblogの際に作製した20倍速のmovie fileを使い、Touchdesignerのpbrによって立体化してみました。それが次の動画です。

これを見ると、城を建設していく様子を思い浮かべました。長久手城といったところです。

これらは、全てクルマが走行することでできたものです、この一連がナラティブ・パッケージです。
この道を走ると、こんなキャラクターができ、こんな物語ができるなら、別の道を走るとどんなキャラクターや話ができるのだろうか、そうした気持ちを誘発するのではないでしょうか。通勤も豊になると思います。
今回のblogでは、走行映像を使いましたが、スマホで自分で動画を取っても同様です、何かをするそのプロセスが意味ある形に変換できればと思っています。

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