はじめに
2025.10.08のblog「人の痕跡」では、blenderで非線形現象を引き起こす構成である、「ノイズテクスチャー+ポロノイテクスチャー+ノイズテクスチャー及びディスプレイスメント」を使って作製した画像を見て、その模様を囲った部分と間隙と捉えました。そして、囲った部分に中世の教会や家がある村、間隙を道あるいは城壁に”見立て”ました。この”見立て”をAIにお願いして絵を描いてもらいました。元図と結果を再度示します。


今回はこれの続きです。幾つかの画像を作製している中で、抽象的な画像には、このようにも見えるし、こうとも見える、というように具体的な”見立て”が思い浮かぶ抽象画と、ほとんど具体的なイメージが浮かばない抽象画があることに気付きました。抽象から具象をイメージしたり、具象から別の具象を思い浮かべることが、今回議論する”見立て”です。今回これについて考察し、アプリケーションを検討致します。
「見立て」と「見立て装置の提案」
上の最初の画像を見て、中世の村が隣接してある様子を思い浮かべたわけですが、他にもイメージすることができます。例えば、囲ってある部分を花壇としてイメージしたり、迷宮となっていて囲っている部分には魔物が潜んでいる、といった”見立て”です。AIに元図とイメージとを伝えることで次の画像を作ってもらいました。


一方で、これまで描いてきた画像を見ていて、具象のイメージが思い浮かんでこない抽象画も複数ありました。例えば


です。この違いは何だろうか?と思ったのです。つまり”見立て”やすい抽象とそうでない抽象があるということです。具象を”見立て”やすい抽象画があるなら、それを表示させておいて、何を想像したかを述べてもらいます。それをAIが聞いて、中世の村を書いてもらったのと同様に、映像を変える、ということができるのではないかと思ったのです。さらにその画像を見て次の”見立て”をAIに言えば、またその画像が変化していく、といった装置がありうると思いました。これは元の作り手以外の人が参画することができる画像という点で、興味深く思っています。
イメージしやすい抽象画の特徴
上の例では、元図には囲われている部分と、道あるいは城壁のように見える部分があるように、区分があることが”見立て”やすい理由ではないかと思いました。これをきっかけとしてAI Copilotと議論しました。その結果が次です。
”見立て”やすい抽象画の特徴は
– 図と地の分離がある:何かが「浮かび上がって」見えると、そこに意味を見出しやすい。
– 繰り返しやリズムがある:パターンがあると「これは何かの構造かも」と思いやすい。
– 境界や区切りがある:囲まれた空間があると「ここには何かが入っている」と想像しやすい。
– 自然界の形に似ている:波、枝、細胞、地図など、既視感のある形は連想を促す。
”見立て”にくい抽象画の特徴は
– 完全に均質で境界がない:どこを見ても同じだと、焦点が定まらず意味を見出しにくい。
– ノイズ的で無秩序:ランダムすぎると、見る人が「何かに見立てる」足がかりを失いやすい。
– スケール感が曖昧すぎる:大きいのか小さいのか、近いのか遠いのかが分からないと、想像が浮かびにくい。
です。AIの言葉を借りると、「抽象でありながら、どこかに「意味のフック」があると、人はそこから物語を紡ぎ始める」という結論です。今回の場合は、囲まれた空間があることで、「ここに何かがあるのでは?」「ここに何かがいるのでは?」という問が生まれ、次に展開するというわけです。このAIが「意味のフック」と呼ぶモノを意図的に設計することで、抽象を具象に変える装置ができる可能性があります。”見立てやすさ”が、抽象と人との関係性を付けます。ちょっとした構造やリズム、境界があるだけで、人は意味をそこに読み取ろうとするようです。AIがそこに入り、対話することで、インスピレーションにつながると思います。2025.09.13のblog「パレイドリア」が”見立て”に関係していると思います。
具象から別のイメージの展開例
具象の絵を見ると大抵の場合はそれに制限されますが、別のイメージをもたらす場合もあります。次の絵画を例として紹介致します。

この図は緒方光琳の燕子花(かきずばた)図です。これを見ていると、燕子花が五線譜の音符のように感じられ、音楽を奏でているよう思います。リズムを感じます。視覚的な構造が音楽的な構造と重なって感じられたということですが、これも”見立て”と言えるでしょう。
まとめ
”見立て”について考察しました。AIが登場することによって、こうした「見立て」が空想だけにおさまらず、言葉にすると、実際の映像が変化する装置になるのではないかと思います。これは目指している、モノとのコミュニケーションの一形態と言えるでしょう。

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