はじめに
Monogokoroでは、色情報を使って立体(凸凹)を作る手法に力を入れています。これまでもblenderで行うディスプレイメントの方法(直近では2026.03.03のblog「漸近・偶然性・連帯」)、TouchDesignerでpbr MATを使う方法(直近では2026.03.16のblog「相対的:フォーカスとフィルタの考察」)を紹介してきました。ディスプレイスメントはメッシュを実際に変形させますが、pbr MATは色や陰、反射等を使って実際のように見せる技術で、両者まったく違う技術です。pbr MATを使った場合の映像は、これまで多く使っていながら、ある程度しか予測できません(白い色が持ち上がり、黒い色が相対的に下がるというのは、ディスプレスメントと同様に予測できます)。恐らく非線形現象が背後にあると推察しています。コンピュータに宿る非線形性に興味を持ち、blenderが作る非線形性(例えば2025.05.23「コンピュータに宿る非線形性1、ディスプレイスメント」)やTouchDesignerが作る非線形性(例えば2025.11.21「3体間の衝突回避と発振」)を紹介してきました。残念ながらpbrの非線形性について、私が説明できる状態にはなっておりません。しかしpbr MATの立体感を出すParallax Scaleパラメータが効果的に働き、意外性が生じる場合はどんな映像か分かってきました。その例を紹介致します。また予測できる場合の例、より発展させれるのではないかと思う例も紹介致します。
pbr MATを使ったダイナミックな変化の例
最初にプログラムを示します。

構成自体は「相対的:フォーカスとフィルタの考察」と同じです。違っているのは、movie file in TOPとなっている映像ファイル部分が、以前はbase COMPを使い、その中にL-systemで作った植物のプログラムが入っていました。そして「相対的:フォーカスとフィルタの考察」ではlevel TOPは初期値のままでしたが、今回はパラメータを調整し色を変えています。これはBase Color MAPが変わるだけでなく、Normal MAP, Height MAPも変わります。特にHeigh MAPの白黒パターンの変化は、凸凹を大きく変えます。色が白になるにつれて立体的に浮かび上がります。camera COMPのProjectionパラメータをOrthographicにして正射投影(物体を平行に投射する方法)を使ってます。これはmoviefilein TOPの平面映像をgrid SOPの平面に投射するためです。それでは元の映像と作製した映像を見ていただきましょう。元の映像です。
次にpbr MAT処理後です。
かなり異なる映像のように見えます。ぼこぼこしたいい感じになっています。質感が変化し海は水ではない印象を与えています。こうしたことはあらかじめ予測できません。Hight MAPを適用し、Parallax Scaleのパラメータ値を4のように大きくすると、白い色が視線方向に持ち上がってきます。この状態でBase Color MAPの色が移されるなら独立した機能ですが、実際には色も変わり、持ち上がり方も変わります。つまり相互作用しています。現象として考えられるのは、pbr MATはメッシュ変形しないので、Base colorは元のUVのままです(3Dの形状に対応してマッピングし直すことがUVです。それを行いません)。Parallax Scaleを4のように大きくすると立体化が進みますが、色情報のマッピングは変更されないので、通常目にすることのない状態になります。また立体化が急峻だと法線方向が大きく変化します。法線方向の情報は光の反射を変えるため、色やイメージを変えます。これが効果的に働く場合とそうでない場合があると推測しています。上の映像は予想外と言う意味で効果的であったと思います。予想外になるのは、一見白黒がはきりしているが、その白や黒の中でも、細かい変化があり、その変化が比較的急峻な場合です。凸凹は不連続にならないように変化します、このため周囲に影響を与え、かつ周囲からも受けています。これが予想外を作るように思います。単純に白黒がはっきりしているものは予測できます。
次に分かりやすい例を紹介致します。元図は2026.01.10のblog「躍動感1:オブジェクトからの視線」で作製した映像です。これにpbr MATを適用したのが、次の映像です。
白が浮き立っている様子が分かりやすいと思います。とげの山の上を動いているように見えます。元図形がはっきりして、細かな変化がない場合、期待した効果が作れます。
次に示すのは、上の映像から類推して道路の白線が分かりやすくなるのではないかと思って試した映像です。
推測どおり随分白線が強調されています。すでに白線検出は実用化されており、今更このようなことをする必要はないでしょう。しかし特定の色を強調し特定の色を抑圧するフィルタと合わせると、特定の色に対応したオブジェクトを立体化し、認識しやすくする映像フィルタが作れるでしょう。これはクルマの白線認識以外にも応用があると思います。興味深いテーマです。
まとめ
pbr MATはよく利用している技術ですが、予想外の変化をする場合があります。その理由を細かな急峻な色変化がある映像でかつ、Parallax Scaleが大きい場合と考えました。これは高さ変化が急であることから、UVのマッピングがずれ、かつ法線方向が大きく変化するようになる、このため、色情報のマッピングがずれるとともに、法線方向の変化が反射等を変化させるためであると推察しました。またpbr MATは、特定の色のオブジェクトを強調するフィルタになる可能性を示唆しました。


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