相対的:フォーカスとフィルタの考察

分解能

はじめに

2026.02.09のblog「高分解能1」では、濃密に過ごした時間や体験が高分解能で思い出すことができるのでは、という仮説を述べました。そして2026.03.09「高分解能2:思考のベースをゆたかに」では、多面的な見方が「教養」に役立つのではないかという意見を述べています。これに関連して、フォーカスとフィルタについて考察してみます。

相対化について

集中することをフォーカスすると言ったりしますが、フォーカスには2つの意味があります。
1.全体的にぼけている場合、ある場所に集中するとそこの分解能が上がる。
2.全体的に高分解能で鮮明だが、ある場所に焦点を当て、他をぼかす。
研究・開発等では1.の意味で使いますが、カメラの撮影等は2.の意味で使うと思います。現象として捉えるなら、「ある場所がはっきりして他がぼけている状態」を指し、元の状態は問いません。つまり相対的です。「胡蝶の夢」が、夢なのか現実なのか曖昧になるのと同じように、今の状態が、ぼけている中で集中したのか、鮮明な状態をぼかしたのか、画像や映像でけではわかりません。また画像フィルタを適応した結果に対しても同様なことが言えます。画像フィルタでは、ある映像にフィルタを掛けて変化させるわけですが、フィルタを掛けた結果と、元の画像があった場合、フィルタを掛けたことを知らないで見たなら、どちらから、どちらに変わったのかはわかりません。実際問題としてはやりやすい方向があるので、AからBに変化できるが、その逆は難しいということはあります。しかしこの技術的な問題を超えられるなら相対的です。「高分解能2・・・」の「教養」の観点からは、フォーカスでは、全体的にぼけている状態の中でも複数の高分解能の場所があることを目指すことが高分解能でしょう。またフィルタの場合は、AからBへのフィルタもBからAへのフィルタも、双方の想像ができることが高分解能だと言えるでしょう。そこでフォーカスとフィルタをテーマに映像を作製してみました。今回の話は、2025.07.18のblog「「環世界」と「暗黙知の次元1」」に関係しています。こちらも是非御覧ください。

フォーカス

ぼかした映像を作製して、どこかにフォーカスするとその場所が鮮明になるプログラムは、どうして書けばよいの思いつきません。鮮明に書いておいて、ある部分をぼかすのは、TouchDesignerではradial Blurというフィルタが用意されており簡単です。ですのでプログラムは後者の方法で行いました。元にしたのは随分と前にL-systemを使って作製した次のプログラムです。これにフォーカスする部分を加えて作製しました。

L-systemについては、2025.05.17のblog「「再帰」とは、L-system, フラクタル, ・・・・」を参考にしてください。L-systemで木を作製する部分、葉っぱを作製する部分、花を作製する部分を作っておいて、それぞれをgeo COMPで配置し、一つのrender TOPにまとめます。この時、木のどこの部分に葉っぱを付け、どこの部分に葉を付けるのか、を指定する必要があります。この役割がJ, K, Mという記号です。木のL-systemの中にこれらを入れておくと、指定した場所に葉っぱや花, 実をgeo COMPのインスタンシングを使って配置することができます。実によくできたシステムです。L-systemで作製した映像にradial Blurフィルタを掛けた映像が次です。このフィルタがフォーカスの役割を果たします。

フォーカス位置がランダムに変わるようにしています。これと同じタイミングでシャッター音を鳴らしています。興味深いことに、この映像をみていると、かってに視線がフォーカスした部分に動きます。視点の誘導に使えます。鮮明な画像を書いておいて、フィルタでぼかしていることを先に説明したからわかりますが、この映像だけからは、全体がぼやけていて、フォーカスしたのかどうか、は区別がつきません。分解能の観点からは、双方の想像ができることが高分解能と言えるでしょう。

フィルタ

次にフィルタを掛けていって、見え方を変えていきます。まずpointillizeという点描化するフィルタを入れると次のように、幻想的になりました。

更にフィルタを掛けます。次の画像を見てください。

最初の動画にedge TOPをかけてedge(輪郭)だけを取り出し、これに上の動画と同様radial Blur, pointillizeのフィルタを掛けます。ここまでが、Base COMP内でしていることです。ここから更にpbr MATを使う操作に入ります。base COMPの出力から、Normal MAP, Height MAPを作製し、自身はBase Color MAPに利用します。geo COMPの入力はgrid SOPで作った単なる平面です。この平面にpbr MATを使って移します。bpr MATはMonogokoroでは頻繁に使ってきたマテリアル作製の手法です。画像や映像をオブジェクトに貼る機能で、質感を出すために使います。goe COMPの入力は通常は立体形状ですが、それを平面にすることで映像フィルタとして使えます。それでは作製した映像を見てください。

最初の画像からはこれを想像することは難しいのではないかと思います。質感が変わっていることがわかります。初めて、2番目の映像と今回の映像を見る場合、どちらからどちらを作ったのかは、可能性を含めるとわかりません。分解能の観点からは、双方に行き来できる想像性が高分解能と言えるでしょう。

まとめ

フィルタの性質をまとめておきます。フォーカスさせるために使ったradial Blurフィルタは。特定の場所にフォーカスし、他を放射的にぼかすフィルタでした。特定の位置にフォーカスすることから空間的なフィルタと言えます。視線がかってに移動することが発見でした。次に使ったpointillizeフィルタは、映像全体を点描化するものです。通常のフィルタはこのように画像全体をフィルタリングします。最後のpbr MATを使ったフィルタは、材料の質感を与える役割です。フィルタはしばしば色眼鏡で表現されませすが、色を変えるだけではありません。空間の状態を変えたり、質感を変えたりすることもまたフィルタリングです。フィルタには方向性があるので、世界を高分解能で見るというイメージより、変換していくイメージです。しかし、作製した映像たけを見比べると、AからBなのか、BからAなのかは相対的です。分解能の視点からは、双方に行き来できる相対性を持つことが、高分解能だと言えるでしょう。生物はそれぞれ違った見方をしているし、人の中であっても、文化的・歴史的背景によって世界は違って見えているでしょう。アメリカ・イスラエルとイランが戦争に突入しました。終結することを望むばかりです。

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