人の特性6:「重ね色目」と「背景による錯覚」

錯覚

はじめに

先回は背景と2つのオブジェクトの色によって、前後関係が現れる錯覚について述べました。今回は、より基礎的な、背景によってオブジェクトの色が変わって見える錯覚について述べます。これは人が色そのもの、つまり色の絶対値で判断しているのではなく、周囲との関係で判断する仕組みがあることを示しています。現象として昔から知られていることです。これをTouchDesignerを使って確認してみました。よく知られていることをやってみる意味は、体験です。体験を通じて身体化されていきます。

重ね色目

錯覚の前に「重ね色目」という、日本の装束文化について簡単に紹介します。平安時代に由来すると言われています。薄い絹を何層にも重ねて、光を通した時に生まれる色のニュアンスを楽しむ色の付け方です。TouchDesignerではCross TOPになるでしょう。例えば
たとえば:
– 「紅梅襲(こうばいがさね)」=紅×白 → 炎の赤と潮の白泡
– 「藤襲(ふじがさね)」=薄紫×白 → 霧と光の重なり
– 「朽葉襲(くちばがさね)」=黄×茶 → 枯れ葉と風の舞い
等が有名です。
これに、光や質感等をどう加えるか、ということで豊かな感じを求めていきます。以下で作製した映像を見ていただきますが、線の太さが一定にならないように、重ねるところが少し太くなるように、濃淡がつくように、等、新ためて書くほどでもない、ちょっとした工夫を試行錯誤しています。こうすることによって、「重ね色目」に+アルファが入ります。

背景によるオブジェクトの色変化

最初にみていただくのは、「紅梅襲」をしたニューロン模様(オブジェクト)の背景を徐々に青から白に変化させた映像です。

オブジェクトの色は変化させていません。しかし背景の色が変化することで変化しているように見えているのではないでしょうか?

次はニューロンに色が詰まっている場合です。

同様にオブジェクトの色は変化させていませんが、背景の色が変化するに従い、変化しているように見えます。

最後に示すのは、「紅梅襲(こうばいがさね)」のニューロン模様と、「朽葉襲(くちばがさね)」のニューロン模様がある場合です。

背景が青の時は明らかに色の違いがわりますが、背景が白になっていくと、それぞれの色も変わって行っているように見えます。また前後関係は、背景が青い場合は、「紅梅襲(こうばいがさね)」が上にあるように思いますが、背景が白いと明確ではなくなってきます(私は色弱なので、皆さんと見え方が違っているかもしれません)。

このように、人は周囲との関係でオブジェクトの色を判断しているようです。恐らく細かくは色だけでなく、オブジェクトの太さや、埋まっているかどうか、立体感があるかどうか、明るさ等、様々な要因の影響しているのではないかと思います。

まとめ

人が色を判断する時、色の絶対値ではなく周囲との関係で判断していると言われています。これをMonogokoroでも試してみました。確かにそうなっています。遠近法を使わずに前後関係を作る日本画は、先回と今回のblogのようなことを巧みに使っていると思います。今回の例は昔から知られていることです。これを新ためて試す意味は、体験として内在化することができる点にあると思います。

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