はじめに
2026.06.26「サイズが変わることによる錯覚:人の特性の考察4補足」では、サイズが変わる錯覚に波紋をプラスして、オブジェクトが波面の前後に変わる錯覚について述べました。平面の映像であるのに、立体的に見せる例でした。今回も平面でありながら、前後関係があるように見せる錯覚を扱います。しかしサイズでなく、「色」の変化で生じさせます。模様は、波紋とニューロン模様です。これら2つのオブジェクトと、背景の色がアクターです。三者の色によって、前後関係が決まります。色相や明るさの強さで、理論的に考えていけそうな気がします。残念ながら私は色の勉強をしたことがなく、そうした知識はありません。一度学んでおいたほうがいいように思っていますが、今回は経験的に得た類推で色の組み合わせを作っています。
西洋画が遠近法を使って前後関係を作るのに対して、日本画は遠近法を使わず、重なりと色で前後関係を作っているように思えます。この違いに興味を持っています。色で前後関係を出せるようになった後、重なりを作ることで、日本画風の前後関係を作製してみました。
前後関係の変化
それでは、次の映像を見てください。
最初、青い背景に赤っぽい波紋と白のニューロン模様があります。この時、白のニューロン模様が波紋の上にあるように見えています。時間の経過に伴って、赤っぽい波紋が白に変化していきます。そうするといつのころからか、波紋が上に、ニューロン模様が下にあるように反転します。平面の重ねで作製しており、プログラムに前後関係はありません。色によってそのように見えます。
この現象は合成する割合によっても作れます。次をみてください。
これは2つの画像の合成する割合を決めるcross TOPを使って合成した映像です。合成の割合は0.2~0.8変化させています。最初はニューロ模様の割合が高く、徐々に逆転します。これに応じて、上にニューロン模様がある状態から下にあるように変化していきます。波紋のニューロン模様はどちらも同じ黄色です。
哲学の分野ではカントが、物の前後関係を人が認識できるのは、アプリオリであると述べています。つまり人の備わった性質です。これに色が加わり、前後関係が決まると思います。平面でも前後関係を読み取るのは人の構造で、色の働きで前後関係が決まると解釈しています。
このような実験を行っていると、素人考えですが、色相が離れていて、明るい程、また色が強い程、前に見えるのではないかと思いました。これが正しいかどうかは別として、その考えで以下の2つの映像を作製しました。それでは見て下さい。
青い背景に、少し濃い青でニューロ模様を作り、波紋を濃い白にしました。これで白の波紋が上に見える予測です。結果としてもそのように見えています。
もう一つ見てください。
赤い背景に、少し濃い赤で波紋を作り、青いニューロ模様を描きました。こうすると、青いユーロ模様が上にあるように見えます。
どうやら、正確さはともかく、色相が離れていて、明るく強い程、前に見える傾向はあるようです。このようにして、前後関係を作れることが分かりました。
重なりと色による前後関係
西洋絵画では遠近法を使いますが、日本画は使いません。日本画の特徴は絵巻物風になっており、時間も横に展開して行きます。遠近法を使っていないのでのっぺりした印象がありますが、前後関係が分からないわけではありません。次の絵を見てください。狩野永徳の檜図屏風です(https://wanderkokuho.com/201-00140/)。

のっぺりしてますが、檜が一番手前で、小川があり、小川の中に岩があり、その向こうに岩がある、ことは分かります。正面にドンとあるようでもあり、左から右に歩きながら風景の展開を見ているようにも思えます。重なりと色で前後関係を表しているように思います。重なりはぼかさず、しっかり描いています。
そこで、日本画風に重なりと色で前後関係を作ってみました。それが次です。
黒のニューロ模様が上にあり、その下に白のニューロ模様、さらにその下に黄土色の輪郭状のニューロ模様、黄土色の背景があるように見えます。重なり部分もそのように見えるように作っています。そして時折、模様に別の色が入ります。これは日本画っぽくなるかな、と思い入れてみました。個人的な印象としては、重なりと色で前後関係を作ることで、日本画っぽくなったと感じています。
プログラムは、波紋、ニューロ模様、背景を独立して作り、look up TOPとramp TOPを使い色を付け、composite TOPを使い合成しています。最後の映像は、ニューロ模様にフィードっバックを掛けて、3重のニューロ模様を作っています。この時点で3重のニューロ模様にそれぞれ色がついていることが重要です。この後、look up TOPとramp TOPで3つの色を明確に区別します。色の付け方は先回の「TouchDによる色を使った映像の分解と合成の基礎」が参考になります。しかしlevel TOP等で少し色変化させても、composite TOPでは大きく変化したりしますので。感覚的な細かな調整が必要です。
まとめ
西洋画と日本画の前後間の出し方の違いに興味を持っていました。まず色相が離れていて明るいほど、強いほど、前に見えるのではないかと思い、色を変えることで前後関係を作りました。次に日本画が重なりと色で前後関係を見せているのではないかと推察し、前後関係の例を元に重なりと色を強調した映像を作りました。なんとなく日本画っぽい重ね模様ができました。背景とオブジェクトの色の関係、重なりをはっきり見せるか見せないかで、前後関係や日本的かそうでないか、に影響があり面白さを感じております。

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