惑星ヤヌス:外と内による映像の違い

非線形

はじめに

先回は、山の凸凹した地形に、pbr MATのColor MAP, Normal MAP, Roughness MAPを使い、且つ、environment COMPのEenvironment MAPにコラージュ状に色のついた画像を使うことで、偏光顕微鏡で鉱物を見たような映像を作製しました。山は平面から作りますので、開いた形です。これを球や岩の形にすると、閉じた図形になります。そうすると外と内ができます。つまり平面と球は全く違う種類です。このような見方をトポロジーといいます。穴が開いているのと空いていないのは、違う種類と考えるのもトポロジーです。そこで平面を球にして、球の外側と内側を観察してみようと思いました。結局これが非線形性を生じさせ、大きな変化を生作ります。Monogokoroでは、コンピュータが作る非線形性現象を探索しています。この一つと言えるでしょう。

外と内による映像の違い

まず映像を見てください。今回はenvironment light COMPのEnvironment Mapとpbr MATのColor mapは同じ画像を使っています。これは色を増やすためです。

惑星をイメージしたオブジェクトにカメラが近づいていきます。近づくにつれて拡大されます。接する所では、分解能の関係でぼやけています。これは通常です。そして接した後カメラは球の内側を見ることになりますが、この時景色が急に開けます。球の内側と外側で大きな変化を起こしています。平面の場合、平面に接した後は何もない空間になるので、黒くなるだけです。これは球のように閉じた図形だから生じます(勿論平面を2枚用意して、1枚目を通りぬけると2枚目が映るようにしてもできます)。カメラが内側を映すからです。
pbr MATは次の前提でレンダリングしています。
・カメラは常にメッシュの外側にある。
・法線は外向き(外側を向いている)
・Environment MAPは外側からの反射を計算する
・ライトは外側から当たる。
カメラが内側に入ると、これらの前提はくずれます。恐らく法線は逆向きになるので、Nomarl mapの凸凹は反転すると推察します。これを受けて陰影やRoughnessの計算はどうなるのかわかりませんが、どうやら球の反対側の映像を法線を逆向きにして見ているようです。何故なら反対側に相当する位置に色を付けた部分的なマスクを加えると、それが映像に反映されるからです。内側に入るとカメラの正面の距離は、半径の2倍以下になりますので、その距離で映像が映っています。このため解像度が極端にぼやけることなく映ります。従って、映像が表面に近付くにつれてぼやけ、内側に入ったとたんにハッキリすることになります。これは急に状態が変わったように見えるので相転移かと思わせますが、そうではありません。カメラと対象との距離が不連続に変わることが原因です(非線形性と言うことはできます)。
この手法を使うと、不毛な大地に見える惑星に近付くと、川が流れる豊かな大地が現れるといった映像を作ることができます。Environment Mapをカメラが球の外側にある場合、上に2番目の映像で使った画像を使い、カメラが内に入ると、最初の映像に使った画像に切り替えました。それでは見てください。

赤い不毛な表面の惑星ですが、内側に入ると緑と水のある風景になります。意外性を演出することができました。

まとめ

これまで試していなかったのが不思議ですが、閉じたオブジェクトに対して、外側からカメラを近づけ、表面を超えた時に、映像が大きく変わることに着目しました。カメラと表面との距離が、急に変化するため、表面の内外で、映像が大きく変わることがわかりました。近づいてきて内側に入ると、急に映像が変わる効果に役立ちそうです。

表題に使ったヤヌスはローマ神話に登場する神様です。2つの顔を持ちます。過渡と未来、はじまりと終わり、昼と夜、といった「境界」を象徴する神様です。今回の話では表面が「境界」に当たります。

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