アトラクターの種(たね)3:縮退と回復の可逆性を持つ現象

微分方程式

はじめに

前々回、前回と「アトラクターの種(たね)」を書いてきました。ストレンジアトラクターが一旦縮退し、それが回復するというモデルです。そこに記憶を見たわけですが、自然界ではこのように縮退と回復の可逆性を持った現象は、他に何があるのだろう?と思いました。AI Copilotと議論すると、複数あることがわかりました。今回これらについて紹介致します。またストレンジアトラクターの縮退と回復モデルを「ストレンジアトラクターの種モデル」と呼び、現時点での方向性を述べます。

縮退と回復の可逆性を持つ現象

1. 冬眠や休眠
・植物の種子 ・熊の冬眠 ・微生物の休眠 等です。
活動中は複雑なダイナミックス(例えば、代謝、呼吸、成長、環境応答)がありますが、冬眠や休眠では、状態空間が縮退しています。そして春になると、活動状態へ復帰します。ここで挙げたダイナミックスがカオスなのか、分かりませんが、成長を考えるとカオスです。子供から大人になるという軌道(種から花や実になる軌道)は決まっていますが、その成り方や、在り方は千差万別です。生まれという初期値に大きく依存していますし、育ち方、成長の過程にも大きく依存します。これをカオスに当てはめると、生まれは初期値に対応し、育ち方や成長の過程における変化は、metaballやRotate, Twist等の作用に相当します。そして植物の場合はまた種に戻ります。このように解釈すると、ストレンジアトラクターを使った縮退と回復の可逆性と似ています。

表題にしている「アトラクターの種(たね)」の種は、この植物の種から取っています。記憶と関係があると思ったのと同時に種のイメージを思いつきました。そして種から展開されるイメージは、唯識と繋がっています。全ては阿頼耶識にある種子の展開です。唯識については、2026.09.10「唯識2:工学との接点」が参考になります。

2.麻酔や意識消失
覚醒した脳は、高次元で多様な状態で複雑な相互作用をしています。しかし全身麻酔では状態空間の利用可能領域は急激に狭くなっています。つまり脳のダイナミックスは低下しています。そして麻酔から覚めると再び複雑な状態へ戻ります。脳がカオスの高次元のストレンジアトラクターであることは間違いないでしょう。そうすると確かに麻酔は、縮退と回復の可逆性と言えます。

3.経済や社会
経済や社会がカオス系で、状態を現わすとストレンジアトラクターになることを、2026.05.08「ストレンジアトラクターと現代社会1」及び、「ストレンジアトラクターと現代社会2:サピエンス全史」で述べてきました。それ故今回の問題を考えるには、縮退状態があるのか、と言うことになります。そして考えてみると間違いなくあります。戦争や災害が起こると、行動の自由度は著しく失われ、皆が一方向の行動しかできなくなります。これは状態空間が縮退したことに相当します。戦争が終わり回復してくると、再び多様な振る舞いが現れます。これを社会の縮退と回復の可逆性と捉えることはできるでしょう。

このように、ストレンジアトラクターの縮退と回復の可逆性のモデルは、記憶だけでなく、様々な分野にあり、モデル化の可能性はあるでしょう。

「ストレンジアトラクターの種モデル」の考察

現在のプログラムではmath mix POPにトーマスのストレンジアトラクターの微分方程式を書いています。このため状態を縮退から戻した場合、必ず大地はトーマスのストレンジアトラクターの大地に戻っています。微分方程式をどこかから呼び出したわけでなく、粒子をバラケさせ、変形した部分を解除したのです。ですので、私か記憶について語ったモデルは、比喩としは成立しますが、元々書いた微分方程式に戻ったわけで、微分方程式が情報を元に新たに構築されたわけではありません。この部分が縮退された後の回復としっくりきません。この問題に対して、折衷案を持っており、その内プログラムを試すつもりです。

人が何かをしたり体験したりすると、それに応じて地形が作られていく、これがモデルでは微分方程式が作られていくことに相当します。そして地形を変えて縮退します。このモデルでは人は生きているということは、様々な微分方程式を絶え間なく作ることになります。そして今の状態の微分方程式(大地)と、ニューロンのパターンによって縮退から解かれ、重みずけされた記憶の大地との合成を、人は感じていることになります。このように考えると縮退させることは、加えられた微分方程式の要素に係数を付け、係数をゼロにすることだとも考えれます。そうすると記憶で思い出すのはその係数でよいことになります。更によく考えてみると、重要なのは大地の合成です。微分方程式は大地を示しているから使っていますが、大地を現わす他の方法があればそれでもかまいません。ここで述べたことが今のところの「アトラクターの種モデル」の方向です。

もう一つの縮退と回復のモデルになりそうな案は、折り紙のような構造を考えることでしょう。広げると2次元構造がありますが、折りたたむと(これが縮退に対応します)、非常に小さな体積に収納されます。プログラムで厚みを与えないなら、極小の平面に縮退できるでしょう。この場合は折り目の構造が保存されるべき本質です。この折り目構造を保存することで、回復させることができる、というモデルも考えれると思います。これをToucDesignerでプログラムするのは、今の所アイデアがありませんが、面白い見方だと思います。

まとめ

ストレンジアトラクターを使った縮退と回復のモデル(「ストレンジアトラクターの種モデル」)がどんなところに関連があるか考えました。記憶の他に、冬眠や休眠、麻酔や意識消失、経済や社会、を上げました。また、現在の微分方程式を中心とした「ストレンジアトラクターの種モデル」がどう展開できそうかを考えました。微分方程式は、再生できる条件や構造を保存する仕組みです。

表紙はAI Copilotがまとめた絵です。実にうまくまとめていると思います(細かすぎますが)。内容自体もAIと議論したモノです。その過程を踏まえて絵にまとめてくれています。これからは描いてもらった絵を見て考える、そういうこともできそうです。

今回のblogで200件になります。自分でもよく書いてこれたと思います。読んで下さっている方々のおかげです。感謝申し上げます。今後とも宜しくお願い致します。

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