はじめに
先回はmetaball SOPとmagant SOPを使って、地形を変化させ、ストレンジアトラクターの遷移を行いました。遷移させるためには2領域間を粒子が行き来する必要があり、この条件を作るために確率共鳴を利用しました。この内容は、2026年の6月のblog「ストレンジアトラクター1, 2, 修正」の応用です。同じ頃ストレンジアトラクターのコントロールについてもう一つ指摘しました。それは「ストレンジアトラクター3:「相転移」と「カオスと生命」」で、トーマスのストレンジアトラクターを作るフィードバック内にtransform POPを入れ、Rotateパラメータを変えることで、単振動に相転移する現象でした。今回は再度こちらに注目し、Rotateを使うことで複数の状態が作れること、そして収縮と膨張といった特異な状態も作れることを紹介致します。
回転による状態遷移
まずプログラムの主要部分であるアトラクターの計算部分を示し、transform POPが何処にあるのか確認いたしましょう。

粒子を発生するpoint generator POPがあり、次のfeedback POP -> mathmix POP,
そして最後のnull POP、そしてnull POPからfeedback POPへのフィードバックが基本です。mathmix POPにトーマスのストレンジアトラクタの微分方程式を記述します。pop to SOPから sop to POPの間に、magnet SOPが入っています。magnet SOPの第2インレットにmetaball SOPが繋がっています。この部分を使うのが先回に使った、微分方程式の地形にポテンシャルを加える部分です。magnetやmetaball 機能がPOPに無いため、SOPに変換し、POPみ戻す必要があります。ここで計算速度が低下するようです(今思うと、mathmix POP等でポテンシャルを記述すれば、変換は必要無いかもしれません)。今回はmetaballのWeightは0にしてその機能は使っておりません。その後にtransform POPがあります。今回変形に使うRotateパラメータrx, ry, rzはこのオペレータにあります。それでは、Rotateパラメータを変えた場合のストレンジアトラクターの変化の様子を見ていただきます。定常状態はnoiseと信号を使い確率共鳴が生じる動作状態としています。画面の左上にRotateパラメータrx, ry, rzを書いています。rzの値だけを変えた場合です。映像は4倍速です。
次に別のパラメータの例として、ryとrzを同じ値で変えた場合です。
このようにパラメータを変えることで様々な相空間が描けます。値を大きくすると小さく収束していく傾向があります。ここで示したように、Rotateパラメータは様々に変えることができ、それに応じで様々に変化することが分りました。そして、パラメータを0, 0, 0に戻すと、元の状態に戻ります。
収縮と膨張
上の映像を作製している時、ほとんど一点に収縮し、そこから膨張して元に戻るような特異な場合も作製できるのではないかと思いました。これを試したのが次です。
空間の広がりが一点に集中し、それからまた定常状態に戻る映像が作製できました。rx=0, ry=rz=7の場合、地形としてそこに落ち込んで行き、見た目は一点に収束します。Rotateのパラメータを変えると、別の地形ができ、地形にそって元に戻って行きます。1点に集中するほど、展開が始まるまでに時間がかかるようでした。そこで展開の最初はストレンジパラメータのbの値を通常の0.22から0.1に小さくして、ストレンジアトラクターが広がると伴に、領域間を頻繁に行き来できる状態を作り、その後元の0.22に戻すようにしました。
これら例からわかる様に、様々な相空間が描けるようなりました。固定したストレンジアトラクターを描いていた頃を思うと、驚きです。
まとめ・空想
トーマスのストレンジアトラクターを描くフィードバック部分に、transform POPを入れ、Rotateパラメータによって様々な相空間を描きました。一点に収縮しそこから膨張する例も示しました。また先回示した、magnet SOPを使った変化も同時に使うことができるので、状態変化は更に増やすことができます。このような様々な状態を利用する例として、通信に使うコンスタレーションパターンを思い出しました。コンスタレーションパターンは例えば通信方式であるQPSKや16QAM等で、情報をどの状態に割り付けるのかを決めるパターンです。また一つのストレンジアトラクターを一つの記憶素子とすると、その一つが様々な状態を記憶できることになります。状態を情報とする場合と状態遷移を情報とする場合とがありますが、結局状態あるいは状態遷移を情報に対応させます。多くの状態が取れることは多くの情報が扱えることを意味します。この点だけからいうと、ストレンジアトラクターによるコントロールは、通信や記憶に役立つ可能性があります。もう少し見ていきたいと思います。


コメント