はじめに
先回のblog「微分方程式2」では2階の線形微分方程式の相空間を描きました。規則的で美しい波形です。これを見て2つのことを思いました。1つはこの規則的な波形にランダムさを加えることで自然を感じさせる模様になるだろう。これはこれまで「擾乱を伴う反復系」を扱ってきたので、規則に中にランダムな変化を導入することへの類推です。もう一つは、相空間の表示に特別な印象を持ったことです。線形微分方程式の表示には横軸時間で波形を見る方法と、ボード線図が一般的にあります。これらは分析的に現象を観ることができますが、相空間は直観的な自然の形状を感じさせます。この違いは人の特性が関係しているはずです。これについてAIと議論したのでその見解を述べます。
2階の線形微分方程式へのランダムさ導入
2階の微分方程式にランダムさを入れることはTouchDesignerでは簡単です。先回は初期値をline POPで2点を作りました。line POPをpoint generator POPに変えて、10ポイント作ることにしました。seedの設定値をランダムに変えると、seedの値に従って異なる10ポイントのパターンを発生します。これが初期値です。この初期値から相空間を描いていきます。2階に微分方程式のパラメトリック方程式は次になります・

ここで、次の式のbを-1に固定し、aを0~1の範囲でランダムに変えました。aが0の場合が先回述べた単振動にあたります。0より大きい場合、相空間は発散します。その度合いをaが決めます。もう一つは、描いた相空間を左右上下に反転させることを行いました。描く方向が一定なので、これに変化を与えるためです。これらによって様々に発散する相空間が描けます。一例を示しておきます。
20個の例を並べた表示が表紙の画像です。ここでも表示しておきます。

これらの映像を見ると、渦、風、流れ、回転、等のイメージが想起されます。これらのイメージは横軸時間の波形やボード線図以上に直観的です。
相空間と人の特性の考察
AIのCopilotと「相空間と人の特性」について議論しました。その内容を以下に要約します。
1.人が自然の力学を読むことは生存に直結していた。
水の流れ、風の流れ、火の揺らぎ、草木の揺れ、動物の軌跡、といったパターンを読み取ることで生き延びてきた。このため脳は「自然の力学を抽象化して認識する能力」を非常に強く発達させた。
2.脳は力学の世界を理解し推定する装置でもある。
脳は常にどんな力が働き、次にどんな動きになるかを推定している。渦ー>回転運動、波ー>周期性と減衰、風ー>流体の流れ、成長ー>拡大・分岐、拡散ー>広がりの速度場、これらは基本的に2階に微分方程式の世界で、人はこれを推定し感じている。
3.身体も力学で動いている。
手を振る、歩く、モノを投げる、呼吸する、これらは「加速度の制御」で2階に微分方程式が関係している。「これは自然だ」と感じるのは、外界の力学と身体の力学が一致するからである。
4.規則性+ランダムは、自然界のちょうどよい複雑さを表す
5.脳が抽出しているのは、どちらに動きそうか、どれくらいの速度か、加速度はどう変化しているか、どんな力が働いているか、どんな未来が予測できるか、これらを瞬時に推定している。そして力学のこれらを表しているのが、相空間である。
6.相空間は力学に本質を直接可視化する。そして脳は「相空間的な表現」を内部で使って世界を理解している。これは明示的に「x-vの座標系」を描いているわけではなく、位置と速度(そして加速度)を同時に扱う内部モデルを持っているという意味である。
即ち、人の特性として、「人は相空間的な内部モデルを持っており、力学を理解している。それ故相空間の表示に自然を感じる」、という見解です。これはランダムさを入れた2階の微分方程式の相空間が、何故自然ぽく感じるのかに答えています。AIがかならずしも正しいわけではありませんが、参考にはなるでしょう。
まとめ
2階に微分方程式にランダムさを加えることで、自然ぽい相空間になるのではという予想を試しました。複数の相空間を観察することで確信が深まりました。AIとこの理由を議論し、人は力学に対する相空間的な内部モデルを持っているという考えがあることを知りました。

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