force radialによる”場”の形成

field

はじめに

Mnogokoroでは”場”について多く述べてきました。ここで”場”の概念について簡単に概観して「はじめに」に当てることにします。最近はTouchDesignerのPOPを使って作る”場”を紹介しています。代表的なのがSDF(Signed Distance Field)でした。これはモノがあると表面と外と内ができ、表面を0として外が正、内が負となる、距離に応じた”場”ができました(2026.04.05のblog「モノの形状が作る場:SDFの概念と可視化、・・・」)。またゲージ(ものさし)を置くだけでも、そこにも”場”ができることを、2026.04.13のblog「場の超基礎的性質:POPを試す7」で述べました。この他にも電荷があると、そこに電場ができる、質量があると重力場ができる、等を学校で学んできました。”場”ができると、そこに作用する何かを置くと、”場”の勾配に従って動くことになります。このように”場”は、何かがあると自然に発生します。これらポテンシャルを作る”場”を真似たタイプは、metaball SOP, magnet SOP, ray SOP等を使って作製できます。一方粒子を放出することも行ってきました。例えば直近では、2026.07.25「粒子を使った伝搬モデル1」等がそうです。この場合、粒子を発生させ、それをforce を与えて動かします。この場合のイメージは粒子に外部から力を与えて粒子を動かすことです。これはボールに力を与えると飛ぶ、というのと同じです。しかし考えてみると、どこに粒子を置いても力が働く、のであれば背後に”場”があることが想定できます。「粒子を使った伝搬モデル1」では、ある小さな領域から粒子を出すので質点に力を働かせるイメージがあります。これを少し拡張して、周囲の領域では力が0で特定の領域に力が働く、と考えるならば、粒子を放出する場所を含む空間を”場”と捉えることができます。粒子にとっては「その領域に入ると力を受ける」ということが本質です。それが自然に発生しようが外部から与えようが関係ありません。つまりfoceが自然にできたモノか人工的かは問うてはいません。SDFやものさしの導入、電荷や質量のように、場は自然にできるだけでなく、forceの設定によって人工的に最初から作れます。粒子を扱う”場”はその典型例です。このように人が最初から作る典型的な方法が、point generator POP, particle POP, forceradial POPで作る場です。
先回のblog「距離と回転角による図形の描き方:POPを試す追加」で、スパイラル図形とフィロタキシスを描きました。今回はこれらの人工的な形状から”場”を作製してみます。

force radialによる場の形成

基本構成の例

最初にTouchDesignerのparticle POPのSnippetsが用意している例を示します。人工的な形状から”場”を作る例です。プログラムが次です。

point generator POPはpointを発生させます。しかしまだparticleではありません。particle POPに繋いでparticleになります。pointとparticleでは何が違うかと言うと、pointの属性は基本位置です。particleになると、それにIDや寿命, 動かす方向, 質量, 等複数の属性が入ります。粒子は生成消滅するモノで、質量を持ったモノで、点ではありません。しかし粒子になったからと言って動くわけではありません。粒子を動かす構成が「particle POP -> force radial POP ->null POP ->particle POPへのフィードバック」です。これによって粒子にforceが与えられ動きます。上の図では、force radial POPにattribute POPがアサインされています。line POPはこの例では1分割しかされておらず、両サイドにpointがあるだけです。これが回転しています。この両端の位置からforce radial POPの中で設定した領域でforceが作用します。この結果、薄い板状に発生させたparticleを動かします。この方法では外部から作用させる位置を指定した”場”が作れます。null POPをgeo COMP, render TOPによって2D化した画像が次です。音は付けておりません。

粒子が動いて”場”を表現していることが分かります。

attribute POPは何をしているのかについて言及しておきます。「particle POP -> force radial POP ->null POP ->particle POPへのフィードバック」の構成の外側にattribute POPはあります。「line POP -> transform POP -> attribute POP」はフィードバック系から独立してあります。attribute POPはDuplicalteでPをtという名前に付け直しています。Duplicateはコピーでもう一つ作ることです。それを新しくtという名前にしています。Pはpointの座標データのことです。薄い板状を構成するpointはPで表し、lineの2点はtで独立して使っています。tの位置にある、設定した領域のPがforceの影響を受ける構成になっています。

”場”の理解を深めるために、2026.07.25のblog「粒子を使った伝搬モデル1」のプログラムと簡単に比較しておきます。次の図は、この時に作製した図とプログラム部分をまとめた画像です。

白枠で囲った部分が今回と同様な構成であることが分かります。違うのは外部から入力するline POP系列が無い点です。そしてこの例では粒子の放出を行いました。point genratorでpointを作りpaticle POPで粒子化し、それをフィードバック系で、粒子化した全体に対してforceを作用させています。これと比較すると、先に示した例は、粒子化した薄い板状のpaticleの一部にforceが作用している場合だと分かります。forceが作用する領域がある空間が場ですので、粒子の放出も部分の動きも”場”を見ていることが分かります。

スパイラル図形の例

それではまず、作製した映像を見ていただきましょう。

スパイラル状に場が変化している様子がわかります。このように外部の動きを場に移すことができます。プログラム全体は次です。

attribute POPを含む枠とフィードバック系の枠があります。この構成は先の節で述べた構成と同じです。スパイラル図形を描いている部分は、line POP -> particle POP -> mathmix POPです。これは先回のblog「距離と回転角による図形の描き方:・・・」で使ったプログラムです。particle POPのパラメータであるBirth RateとLife Expecctを調整してスパイラスの形状が一部が消えながら現れるようにしています。これは場に変化を与えるためです。プログラムの他の部分は見栄えを整えるための部分です。粒子をsphereに置き換えて色を付けています。サイズの違うsphareに変換しgeoで2Dにした後合成し、粒子一つ一つを、中心がありその周りに色のついた円、で表しています。

フィロタキシスの例

次にフィロタキシスの場合を示します。

先回の「距離と回転角による図形の描き方:・・・」では、フィロタキシスは動かないようにしていましたが、スパイラル図形と同様、pirticle POPのBirth RateとLife Expecctを調整して、一部が消えて一部は発生する状態にし、動きを与えています。プログラムの構成はスパイラルを生成する部分がフィロタキシスに変わっているだけです。円形状の変化する”場”が作製できました。

まとめ

先回のblogで作製したスパイラル図形とフィロタキシスを、外部から与える位置として利用し、そこにforceを作用させて、変化する”場”を作製しました。これは、発生させた粒子を全部ビームとして利用する、「粒子を使った伝搬モデル」の粒子発生部分と本質は同じです。外部からforceを与える位置を指定するかどうかの違いです。これは、モノがあるから自然に発生する場ではなく、人工的に発生させた場です。

補足

何かを置いた時に、それに力を及ぼす空間のこと、あるいはその領域を含む空間のこと、を”場”と呼んでいます。従って、粒子が流れる、それは”場”の影響だし、今回のように粒子が動いて模様を変えるような場合も”場”と言えます。それはモノが在ると”場”ができる自然の場合もあるし、今回のような人工の場合もあります。場をコントロールする方法は、ポテンシャルのような勾配を作る方法、forceを作用させる方法、そしてアトラクターを使う方法があります。アトラクターはmetaballをparticle SOPのSurface Attractorsに入力することで作る場合(2025.12.17のblog「パーティクルと帆テンシャルによる移動経路設定の基礎検討」と、ストレンジアトラクターのように、目に見える粒子の動きの背後にある地形として存在する場合があります。TouchDesignerでプログラムする利点として、プログラム体験が身体化する点が挙げれますが、これが”場”の身体的理解に有効に働きます。

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